桃園文庫とこてみんの学生たち

 古典文学研究の花形といえば『源氏物語』でしょう。源氏物語の本文研究で著名な池田亀鑑(1896鳥取~1956)が研究に使う書籍を納めていた書庫が「桃園文庫(とうえん・ぶんこ)」で、没後、縁あって東海大学がその多くの書籍・原稿類を保存伝承することになりました(一部は天理大学図書館にも所蔵されています)。これが東海大学付属図書館蔵「桃園文庫」です。

 

 さて昨日は6研の「こてみん」(東海大学古典と民俗学の会)の活動日でした。

 今期(前回建学祭~今年度建学祭)の活動テーマは『竹取物語』。現在、本文に注釈を加えているところですが、前代表の提案で、今年の1月末(秋学期の終わり)に桃園文庫所蔵の『竹取物語』写本・版本(江戸時代に出版された本)を閲覧することにしました。単なる拝見におわらせたくはなかったので、古写本の扱い方と所謂「文庫調査」(古写本の閲覧・書誌取り・撮影)の方法を教えました。

 このとき許可をいただいて撮影してきた写本の中で、古そうなもの(奥書がないので年代不明なのですが、『桃園文庫蔵書目録』には室町時代末の写本とあります)の写真データを、帰省する学生に渡して、「翻刻しておいてね」と云ったところ、昨日、「できました」と翻刻本文が上がってきました。

 もちろん『竹取物語』には電子データが所々にありますから、それをベースとして、写真の本文と対照させて直してゆく方法をその学生には教えましたけど、ちゃんと春休み中に完遂達成できたところを高く評価しました。

 そこで、次の作業です。翻刻担当者以外のメンバーは春休み中に本文に注釈を加えてくることになっていて、各人が付けてきた注釈をめぐってディスカッションして注釈書の体裁に仕上げてゆくのが、春学期のこてみんのメイン活動なのですが、これに、今回の翻刻本文を照合させて校訂する作業を加えることができます。

 それに、せっかくなので、底本に桃園文庫本を使う方向も考えています。ただし週一回、金曜の五時間目の活動なので作業時間も限られています。求婚譚をはずした部分のみだけでも、完成させたいと思っています。

 求婚譚部分は、こてみんのお家芸。映画化でいきましょう。春学期に注釈と脚本を完成させて、夏休みから撮影にかかれるといいな。

 註釈と映像は、今年度の建学祭にて発表予定です。

 

 ところで、お隣の「こてけん(古典文学研究会)」さんはどんな活動をしているのでしょう?

 こちらについてはまた別の機会にレポートしますね。